横溝さんが残した教訓
現在でも「定期的に横溝さんの自宅へ市の担当者が報告に行っている」(市関係者)という。もちろん、議会の議決を経て、使い道が決まっているために無駄遣いはない。しかし、報告をさせるということで、市としては、万に一つの無駄遣いもできないだろう。
寄付をすることがゴールではない。寄付をしたところから全てがスタートすると考えた方がいいようだ。その辺はしっかりと監視する、というくらいのシビアな目が必要かもしれない。これは経験に裏打ちされているようで、横溝さんをよく知る人物は「今までにも何十万円単位でよく寄付をしていたそうです。ただ、寄付した後にどう使われているのかが、まったくわからないということは気にしていたようです」と話す。
この寄付の大きな特徴として次のような点が挙げられる。
(1) 一度に大金を寄付する。
(2) 事前に寄付することを予告して寄付先と用途を協議する。
(3) 自身の意向をはっきり伝える(用途など)。
(4) 使い道を報告してもらう。
横溝さんの寄付は単に10億円という金額の大きさだけに目を奪われがちだが、これから社会貢献をしようとする富裕層にとっても貴重な教訓を残してくれたといえるだろう。