またお家騒動か
セイコーホールディングスは、村野晃一会長兼社長(72)を解任し、後任に創業家の服部真二副社長(57)が就任したと発表した。解任理由は「一部の大株主と一部の取締役の意を受けた独断的な経営手法によって合理的な経営執行を怠った」というもの。市場には、まだ、お家騒動が続いていたのかとの印象を残した。
4月30日の取締役会で社外取締役が緊急動議を提出。村野氏本人を除く取締役5人のうち3人が賛成し決議された。村野氏は6月の株主総会で取締役からも退任予定。2期連続の最終赤字が見込まれるほど業績は悪化、しかも、3月には労働組合が、業績不振と経営混乱を招いたとして、村野氏ら経営陣の責任を追及しようと株主代表訴訟の手続きに入った。
こうした待ったなしの状況を放置することはできず、会見で、服部新社長は「老舗企業にありがちな古い体質からの脱却を図る」と述べ、体制刷新を図る。
しかし、セイコーHDのこうしたお家騒動は、よく起きている。もともとセイコーの創業は1881年(明治14年)で、服部金次郎氏が服部時計店を創業したことにルーツを持つ。現在は、グループ中核3社と呼ばれる、セイコーHD、セイコーインスツル、セイコーエプソンがあるが、創業家と事業会社との親子関係というよりは、ほぼ並列で対等な関係に近い。そのために、意外に現場が強いとも言われている。
今回、村野氏の解任の発端となったのは、名誉会長・礼次郎氏の意見を聞きすぎたということも一因だったという。そこで現場の反発は当然ながら、私物化が大きな原因だったようだ。