万能勉強道具である移動式机を駆使
お母さんはDくんを叱る代わりに「どう?勉強ははかどってる?」など、ときどき声を掛けてあげることにしました。
「うるさいなっ!いま勉強中だからほっておいてよっ!」とDくんが口をとがらせると、「はいはい、じゃあお台所に引っ込むわ」と、お母さんは苦笑いしながら退場。
Dくんはなんだかんだと言っても、お母さんの近くで勉強したかったんですね。
自分の勉強机の上はぐちゃぐちゃなDくんですが、部屋の中で唯一、整理整頓されている場所が本棚でした。遠目に見るとカラフルな本棚です。よく見ると『名探偵コナン』や『ドラえもん』が1巻からずらりと並んでいました。
家中を自分の勉強部屋に変えてしまうDくんにとって、ダイニングもリビングも、庭も廊下も、トイレもお風呂の中でも、すべてが「ぼくの部屋」でした。そのカギを握っていたのが、ドラえもんのポケットから出てきたような、万能勉強道具『移動式机』だったわけです。
Dくんはこの道具を駆使して、第一志望の麻布中学に無事合格しました。