従来の本棚にこだわらないユニークな発想で
◆印象に残った部分は、どんどん線を引いて、本棚にしまう
「子どもを本好きにさせるには、具体的にどうしたらよいかという質問に、田園調布学園中学部の教頭先生から“まずは本に線を引かせます”と答えが。書物に線を引くということは、自分の中で引っかかった“なにか”を具体的に残しておく作業です。すなわち、寄り本の内容を理解することにつながるのです」
◆「家族の思い出の本」を収納して、感謝の気持ちを育てる
「武蔵中学に合格した男の子の家の本棚には、おじいちゃんの入院した時のことを記録した日記が入っていました。残念ながらおじいちゃんは最近他界されましたが、おじいちゃんの遺した日記は、家族と一緒の居場所を確保したのです。
この家にはもう1冊日記らしきものが。それはお父さんの海外出張の記録でした。入国審査でしどろもどろになったこと、ステーキハウスで偶然にダスティン・ホフマンと一緒になり、話しかけようとしても英語が全く出てこなかったエピソードなどが書かれていました。
その日記の最後のページには、「子どもたちへ」というメッセージ。内容は“英語はよく勉強するように”。お父さんが英語で苦労したことがわかりました。そんな本を手掛かりに、子どもは我が家の歴史を知ることができます。今すぐ読まれなくても、将来偶然に読まれたときこそ、読んだ子どもの感動と驚きは大きくなります。“家族遺産”というべき家族の記録は、子どもの胸になにかしら訴えるものがあると思います」