雪山の小さな街が、数日間だけ世界の社交場になる
7月は地中海のイビサ島、7月末はコート・ダジュールのサン・トロペ、8月の第1週はイタリアのサルディニア島、第2週はカプリ島。8月末はオーストリアのザルツブルグ音楽祭など。週単位でスケジュールが決まっています。
サン・トロペは小さな港町ですが、トップ・シーズンは世界一豪華なヨットやクルーザーがひしめき合います。またスイスのグシュタードもほんの小さな山間の街。ところが、本当に小さな50メートルほどのストリートにエルメス、カルティエなどスーパーブランドが軒を連ねているのです。しかもエルメスならクロコダイルしか置いていなかったり、カルティエならダイヤモンドがついたシリーズしか売っていないなど、一般のショップとは全く異なる品揃え。冬季の数ヶ月間のみオープンする、本物のお金持ちだけのための店舗です。
スイスは富裕層の子供たちが通う寄宿学校が多いため、春休み期間、学校から近いスキーリゾートにその家族が集まり、自然と社交の場になったという歴史があります。スキーリゾートというとカジュアルなイメージですが、夜はブラックタイで正装、パーティーではお互いの毛皮の品評会のようになるそうです。
一年のうち世界のセレブが集まる数日間は、各地のホテルの宿泊費は通常の倍以上に高騰します。しかし、それでも予約を取るのは困難。カレンダーに沿って毎年そこで過ごすと決めている方たちが、数年後までホテルを部屋指定で予約しているからです。中には10年後まで同じ期間で同じ部屋を予約しているマダムもいるとか。