ビジネス本で自転車操業
ビジネス本は完全なバブルとなっているが、そもそも何なのか。さらには、いつ頃から世の中に登場し始めたのか。少しここで定義して、おさらいしておくことにする。ビジネス本とは、一般的にはビジネスに関連することが書いてある本のことで、成功のためのノウハウなどが書かれている。水野氏に解説してもらう。
「2003年あたりにIPOブームが起こり、ベンチャーバブルの時代がありました。その辺でフォレスト出版などから、経営者向け、起業者向けに出されて広がっていきました。その後のライブドアショックや、リーマンショックを経たあたりから、供給が重要を上回り始めたのです」
2007年のサブプライムショックから金融危機が起き、一気に景気は底冷えに。出版業界でも、倒産する出版社が出るなど業界の不況も深刻化していった。
「出版物の質の低下は以前からありましたが、出版不況でより一層ひどくなっています。本を作ることで取次会社からお金が入り、返本が来ると、お金を返していく。この繰り返しになるので、本を出し続けるという自転車操業をせざるを得なくなるのです」
キャッシュフローを回すために、出版業界全体が出し続けるというチキンレースに陥っているのだ。だから、とにかく出す、というふうになってしまったのだ。