武田亮さん(仮名) 駒場東邦中・高卒 慶應義塾大学医学部 4人家族(父:商社勤務 母:ピアノ教師)
母親は亮さんが中学受験の時に、特に食卓の役割を強く意識したそうです。食卓は、過酷な勉強の合間の、貴重な息抜きの時間であり、母の応援の気持ちを伝える場でもあるからです。
「受験は小さい子どもにとって、精神的にも体力的にも大変なこと。ちゃんと栄養バランスの取れた食事をとらせて、健康管理にも気をつけてあげないと、とても持たないだろうと思ったんです」
健康管理に加え、家でしっかり食べさせておかないと、結局、スナック菓子やファストフードを買い食いするようになり、食生活が乱れてしまうのではないか、という心配もあったそうです。
食事では特に野菜をたくさん食べさせるようにしました。ともに九州出身の父と母の郷土料理『がめ煮』(筑前煮。後ページにレシピ紹介)もよく登場しました。繊維が豊富な野菜も多く、お通じにもよいと、試験の三日前になると、必ずがめ煮を食べさせたそうです。
武田家の朝食もしっかりと食べさせていました。子どもたちから「パンはすぐにお腹がすくからご飯がいい」と言われていたこともあり、メニューは毎日和食。ご飯たっぷりで、納豆や魚、野菜、果物もついた、豪華な朝食でした。
母は栄養バランスに気をつけてあげるだけでなく、大きくなってから自分で健康管理できるように、食卓に並べる料理は、どんな材料を使っているのかできるだけ説明していたそうです。そのおかげで、武田家の子どもたちは、毎日の食事で、肉魚、野菜のバランスを気にするようになり、「外食すると、しきりに“野菜が足りない”と言うようになりました」