フェリスから慶應大学に合格した家庭の食卓 頭のよい子が育つ食卓【7】

受験勉強中の子どもを応援した大きなお弁当箱

 夕食は毎日、家族が揃ってとっている阿部家ですが、麻美さんが中学受験の準備で塾に通っていた時期は、家族全員が顔を合わせる機会が減ってしまいました。そこで父が考え出し、今も続いているのが、以前ご紹介した武田家と同じ「コーヒータイム」。

 母は食事の後片付けを終え一休みするころ、麻美さんが塾から帰宅。父は自ら娘においしいコーヒーを淹れてあげます。そしてコーヒーの香りに誘われ、家族全員が食卓に集まってきます。父が仕事帰りに買ってきたケーキを食べながら、今日あったことなどを話し合います。

 今まで家族全員で楽しくおしゃべりしていた夕食に参加できないというのは、小学生の子供にはつらいこと。阿部家ではコーヒータイムを持つことで、麻美さんの孤立感をやわらげ、家族が応援している気持ちを伝えていました。

 もうひとつ、麻美さんへの“応援歌”がありました。それはお弁当です。単に塾に夕食用のお弁当を持たせていた、というのではありません。家族が食べる夕食とまったく同じメニューを、夕食の時間に母が塾まで届けていたのです。

 「工事現場の職人さんが使っているような、保温機能の付いた大きなお弁当ジャーに、温かいお味噌汁、ちらし寿司、カレーライス、ときにはざるそばなど、その日の夕食と同じメニューを詰めて届けていました。子どもの受験の応援は、料理を作ることしかできないと思ったからです」

 一方、お弁当を受け取っていた麻美さんは「休憩時間は20分しかないので、急いで食べなくちゃならないし、何よりそんな大きいお弁当を友だちに見られることの方が恥ずかしかった(笑い)。でも今思えば、そこまで応援してもらったことに、本当にありがたいと思います」と話していました。

 受験の前後には、麻美さん、弟さん共に、家族で必ずする習慣があります。まず、受験前日は願かけのために、ステーキを食べます。受験当日のお昼はカツ丼弁当、そして受験が終わると、家族で湯島天神にお参りしたあと、焼き肉を食べにいきます。

 家族みんなに支えられた受験、こうして麻美さんはフェリス女学院中学校に合格しました。

 次回も阿部家の食卓とレシピを紹介します。

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