そもそも英国生まれだから、日本の枠は超えている
――キティが世代や国境を問わず、愛され続ける理由とは?
以下宮田氏)キティはどの国・地域にもなじむ国際的キャラクター要素を持っている。英国生まれという設定からして、既に日本の枠を越えているし、そもそもの造形が、洗練された国や地域を選ばないニュートラルなデザインだ。子どもっぽくないクールな顔つきもグローバルキャラクターにふさわしい。
キティには口が描かれていない。これは意図的なもので、口がないことで表情が限定されにくく、見ている人の気持ち次第で、気持ちが分かち合える。過剰な表情がないところが、かえって誰にとっても感情移入しやすいともいえる。キャラクターコントロールがしっかりして、イメージが崩れていないことも強みだ。
誕生から36年が経ち、キティのファン層も年齢面で幅広くなった。親子2代のキティファンを意識した、親子で共有できる商品シリーズや、母親が娘に買ってやりたくなるようなアイテムを投入し、家族のコミュニケーションツールとしての役割も担わせている。子ども向けにとどまらない商品バリエーションの広がりがあるのも、キティ人気を支える要因の一つだ。
年齢層の広がりを受けてデザインにも大人向けが増えてきている。米国の高級化粧品ブランドの「M・A・C」はキティをあしらった口紅やマニキュアなどのメーキャップ商品を発売、パッケージの背景は黒色の落ち着いたデザインで大人女性が違和感なく使えるようになっている。ワイヤーバッグで有名な、ミラノ発ブランドで、荻野いづみさんが手がけるブランド「アンテプリマ」もキティとコラボをして話題になった。大人の女性を狙ったコラボ商品も数多く登場している。