女性目線でファンを獲得できた
――世界のセレブにもファンが多いキティだが、キティがファッションやアートに及ぼした影響とは?
以下宮田氏) キティを愛するデザイナー、アーティストは数多い。ニューヨークの人気ブランド「アナ スイ(ANNA SUI)」はキティとのコラボレーション商品を手がけたことがあり、同じくニューヨークコレクション参加ブランドの「Heatherette(ヘザレット)」は「ハローキティ」をモチーフにしたファッションを披露し、ファッション界で話題になった。
ハローキティ誕生30周年を記念して開催されたアートやファッションとのコラボレーション展「KITTY EX.( キティ・エックス)」(2004年開催)には、国内外から100組を超えるアーティストが参加した。主な参加者は、エドツワキ(モードイラストレーター)、佐藤可士和(アートディレクター)、立花ハジメ(アーティスト)、野田凪(アートディレクター)、日比野克彦(アーティスト)、藤原ヒロシ(アーティスト)、ホンマタカシ(写真家)、佐内正史(写真家)、ジェレミー・スコット(ファッションデザイナー)らそうそうたる面々。
こうしたキティをモチーフにしたアート展覧会が開かれるほど、キティはアーティストを刺激するようだ。口がないことをはじめ、表情や輪郭にもアレンジを加えやすいところも、アーティストマインドを触発するのかもしれない。一定の枠は設けながらも、アーティストのクリエーションを尊重して彼らがキティを“いじり倒す”ことを許す、サンリオの寛容なまなざしもキティとアートの仲を取り持っていると言える。
漫画やテレビ番組、ゲームから始まったわけではない、グッズ系の2次元キャラクターだという点で、キティはウルトラマンともドラゴンボールともスーパーマリオブラザーズとも異なる。しかも圧倒的な女性ファンの存在というところも、これまで海外で知られてきた日本発キャラとは違う。日本発のキャラクターが世界に通用することは既に事実となっているが、女性目線でこれほどのファンを獲得したキャラは他に見当たらないのではないだろうか。(以上宮田氏
サンリオは2010年に創業50年の大きな節目を迎えた。同社に安定的な利益をもたらしてきた「ハローキティ」人気は、さらに世界を席巻しそうだ。