『開成番長』が語るギャンブル漬け人生【1】

 東京都杉並区にある個別指導塾TESTEA塾長の繁田和貴氏は、東大を目指す「男子御三家」のひとつ開成中学・高校から東大へ進学というエリートコースを歩む一方で、ギャンブル漬けの生活を送り、開成の異端児『開成番長』として名を馳せた破天荒な人物でした。
「開成番長の勉強術」「開成番長の記憶術」(共に白夜書房)などの著書があり、若きカリスマ講師として受験界で注目を浴びる繁田氏に、波乱万丈な人生や教育論などについて伺いました。

3~5歳の幼少期


「開成番長」こと繁田和貴氏
 うちはごく普通の家庭で、父は会社員、母は専業主婦。父は慶應出身でしたが、学歴に乗っかって一流企業に就職することを是としていなかったようです。エリートを目指せば人生は安泰という考え方じゃなかった父だからこそ、東大を卒業しながら、就職をせずに進学塾を立ち上げたことに反対もされず、自分の目指したい道に進めたのかもしれません。

 小さいころはおしゃべりで、お調子者だったと聞いています。最初の記憶は3歳ごろ。100カ国以上の国旗を覚えていました。国旗の下に窓があって、それを開くと『にほん』とか『アメリカ』と答えが出るゲームのようなものでしたが、すでに3歳のころはひらがなやカタカナなどの文字が読めていたようです。

 4歳ごろには、九九もすでに暗唱できたんですよ。きっと歌のような感覚だったのでしょうね。文字を読めたのも九九の暗唱も、生まれながらの才能というよりも、当時自分に与えられた環境がよかったからだと思います。

 そのときの自分の経験から、幼児教育の重要性を痛感しています。とはいえ、親が無理に押し付けるものではなくて、子どもが自発的にやりたくなる仕掛けというのが大事です。まず興味がありそうなものを子どもの周りに置いてあげる、そしてそれを親も楽しみながら一緒にやってみることです。

 さりげなく置いておくというのが大切で、それでも子どもが興味を持たないのなら、その時期ではなかったんだと判断して押し付けないこと。知的好奇心というのはどの子にも絶対あります。ただ、知的好奇心のレベルとか方向性は個々に異なりますから、嫌がるものを無理にさせるべきではないと思うのです。

 一般にも知られていることですが、色や音、触るなどの刺激って幼児のころは非常に大切なんじゃないかと思います。僕の場合、国旗遊びで得られる、デザインや配色などの色刺激がとても大きかった。それをすごく楽しみながらやっていたことで直観力が鍛えられたと後になって気付きました。

 ひらがな、カタカナも、個人的には3歳ぐらいまでに読めるようになるといいかなと思いますね。環境さえあれば能力的に無理ということはないはずです。内容を理解できなくても、文字を見ておくだけでいいんです。僕は誤字脱字を発見するのが得意ですが、それも小さい時から文字を見ていたからじゃないかな。そういう意味でも、日本の教育って子どもの成長のレベルに対して遅い気がするんです。遺伝子だけで決まらない、環境で能力を開花させることを、もっと重要視してもいいのではないでしょうか。そういう意味では、自分にとって最適な環境を提供してくれた両親には感謝していますね。

 こうして親に与えられたゲームによって、記憶力や好奇心が育てられたのですが、一方で弊害もありました。引き出しの中の麻雀牌を積み木代わりにして遊びながら、牌や役の名前を覚えてしまったのです。「開成番長」の基礎は、このころから出来ていたのかもしれません。

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