流行の一方で、切実な読者も
「もしドラ」のようにドラッカー本を娯楽として読むという人もいれば、今行き詰っているビジネス、あるいは将来に対する漠然とした不安を何とかしたい、と考えて読む人まで様々だろう。もしも、ドラッカー氏が今も存命していたとするなら、切実な読者に対して、どんなメッセージを送るだろうか。
以下ワルツマン氏)それは、日本でドラッカーに興味を持つ人が増えているということを示しています。つまり、答えを求めている。逆にいいことです。基本とすべきことは、健全な社会、会社を目指すのが大事なのです。そのためには次の3つのことが大事になります。
1、長期的な視野に立つこと。日本も米国も大きなバブルを経験しました。そしてその後は苦労をしていますが、その原因は短期的展望に立った経営が生みだしたことだからです。
2、未来志向を持つということ。ドラッカーは歴史に造詣が深いのですが、常に具体的な明確なゴールを設定して、それに向かっていくことを忘れませんでした。今の日本の経営者は鏡を前に置いて、自分の後ろ側を見ている人が多いんじゃないか、と言っています。前向きに立っているが実際に見ているのは過去なのです。
3、社会セクターを大事にする。これは、日本の経済に多くの示唆を与えていて、再認識しないといけません。ビジネスを行いながら、それぞれの地域の活動に参画することです。たとえば江戸時代は文盲率がひじょうに低かったのですが、それは寺小屋で十分な教育が行われていたからです。だから、日本は本来資質として持っているのです。
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確かに1、2は経営マネジメントにおいては必要であることは否定しない。しかし、3の社会セクターという考え方は、かつて江戸時代には一般的ではあったとしても、なかなか日本には馴染まないような気がするのだが…。