「開成番長」が語る、ギャンブル漬け人生【5】  

子どもの能力は環境や育て方次第

 うちは本当に普通の家庭ですよ。最初にも触れましたが、父親がエリートを目指せば安泰という考え方じゃなかったから、自分の目指したい道に進めたと思っています。僕がギャンブルにハマっていたときも、親には心配をかけたと思いますが、常に信頼をしてくれていたこともあって、自分のやりたいことに気づくことができたのではないかと。

 妹は(テレビ東京アナウンサー・繁田美貴さん)、性格は僕と違っておっとりしていて堅実です。仲はいいですが、僕が悪いことしていた時代はノーコメント。お兄ちゃんはしょうがないなあと、あえて触れないようにしていたみたいです。

 開成時代の同級生や、東大の学生たちなど、頭のいい人たちと話す機会も多いですが「本当にこいつらの発想は天才的だな」と思うことがよくあります。そう考えると僕の場合、勉強はできたけれど、どちらかというと秀才タイプなんだろうなと思います。昔は周囲から天才と言われたことがよくありましたが、実は決して天才タイプではなかったのだなと・・・。

 でも秀才タイプの能力を決めるのは、環境や方法によって影響を受ける後天的な要素が強いです。そういう意味でも、子どもにいかにいい環境を与えるか、どのように育てるかが、その子の人生を大きく左右することになると思うのです。

 著書「開成番長の勉強術」でも書きましたが、東大合格に重要なのは天才的に巨大なキャパシティーより、むしろどれだけ器用に物事をこなせるかという効率性です。これは、生まれ持った優越は若干あるにせよ、後から変えることも可能ですし、気付かずに放っておけば才能を埋もれさせることになりかねません。もしお子さんが、勉強する時間に対して成果が現れないのであれば、今のやり方でいいのかどうか、お子さんと一緒に見直すべきでしょう。

 あとはもちろん、はっきりとした目的意識を持つことも大切です。「なんのために」という目的がしっかりと見えれば、おのずと成果も上がってくるものです。きちんと効率をあげる術を身につけた上で、目的意識を持って正しい努力さえすれば、だれでも東大に入れる可能性はあるのです。

 受験勉強の中で学力だけでなく心も育成する。その思いを持って今後も教育の世界で自分ができることを模索していきます。高い人間力を身につけた真のリーダーが育つ環境が整うことで、日本は少しずつ変わっていくと信じています。

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