ダメ夫を解雇した世界一の女性ヘッジファンドマネージャー

数学と哲学で最強の投資

 ドン・ブラウンスタイン氏が率いるヘッジファンド、ストラクチャードサービシングホールディングの戦略は、住宅ローンのアービトラージだ。

 住宅ローン市場と言えば、2008年には、ジョン・ポールソン氏が、住宅ローン市場でサブプライム証券を売りまくり、ヘッジファンド史上に残る巨額の利益をあげたことは記憶に新しい。ただ、この分野は新しく、その上、複雑に組み合わされたモデルで一昔前のファンドマネージャーでは理解が追い付いていないのが現状だ。ジョージ・ソロス氏が、ポールソン氏に教えを請うたという逸話もあるくらい。

 哲学者にして、商業用不動産リースの証券化に関する論文を書いたこともある。趣味が高じて1989年に、ストラクチャードポートフォリオマネジメントを設立した。

 ブルームバーグマーケッツによると、ストラクチャードは1998年以来、平均年利28%で、損失を出したのは2008年のみだが、それでも損失はマイナス6%にとどまった。その年の業界平均はマイナス19%ということを考えると、いかに秀逸かわかる。昨年、ブラウンスタイン氏の投資チームは8700万ドル(約72億円)の運用報酬を稼いでいる計算だという。

 もちろん、運用チームは高度な数学モデルを駆使しているが、その数学に哲学の裏付けを加える独自のスタイルで、ここまでやってきた。

 ブラウンスタイン氏にとって、住宅ローン市場は様々なリスクがあるからこそ、投資しがいがあるのだという。

 戦術に住宅ローン関連のファンドは、10億ドル未満のミドルサイズの上位にも数多くランクインしている。また、規模は問わず、エマージング市場も好成績をあげている。

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