日本がプライベートジェット先進国になる日(後編)

「ジェット機に投資する」という考え方

 「ジェット機は資産価値が高いので、数年乗ったとしても、価値はそれほど下がりません。しっかり整備すれば、半永久的に乗ることができます。極端な例では売却時に購入した時より高く売れる場合もありますよ」と松浦さんは語ります。移動のツールとして活用しながらも、不動産に投資するように、ジェット機に投資するということも可能なのです(市場や個々の機体の状態によって状況は異なります)。ジェット機を投資先の1つにもできるという考え方は、日本では馴染みのない発想ではないでしょうか。

 丸紅エアロスペースではジェット機の運航管理サービスも行っていて、メンテナンスや各空港での離着陸許可取得、機内食手配、操縦士やアテンダントの手配など、トータルで任せることができます。年間の維持費は約2億円~3億円(機種や運航形態によって変動)。しかし使わない時は他の方にチャーターとして利用してもらうこともできるので、その分年間の維持費がぐっと圧縮されるそうです。


ガルフストリームG550内部のバーカウンター

日本の自家用ジェットは2極化している?

 ビジネスジェットの主要メーカーとしては、超大型・大型機はガルフストリーム社の他にカナダのボンバルディア社、中・小型機ではアメリカのセスナ社、ファルコンを製造するフランスのダッソー社、ブラジルのエンブラエル社などが挙げられます。車にロールスロイスとミニバンがあるように、自家用ジェットも3億円から60億円までさまざま。セスナ社のジェットはエントリーモデルとして、初めて自家用機を購入する際に選ばれることが多いようです。

 また購入の仕方も、欧米と日本では大きな違いがあります。海外では、まずセスナなど小型機を手に入れ、その後徐々に大きな機体に乗り換え、最終的にボンバルディアやガルフストリームに行き着くステップアップ形。対して日本は小型のジェットか、もしくはいきなり大型機を手に入れるかのどちらか。中間がない傾向があるようです。

 日本人にとって、自家用機はまだまだ非現実的な乗り物であり、お金持ちの「成功の証」とも考えられています。そのため、買える立場になれば一足飛びに最高級モデルを購入する方が多いようです。小型機からステップアップしていく欧米の感覚との違いが、普及率の差にも出ているのかもしれません。


ガルフストリームG550の内部。ベッドの備え付けも可能

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