任天堂社長が語る「不況でも独り勝ちする方法」(前編)

DSを一家に一台から一人一台にして市場を拡大する


DSをプレーする少年たち(2005年、東京ゲームショウ)
 2004年にDSを発売し、2006年にWiiを発売した任天堂。そのたびにゲーム機市場を大きく塗り替えてきた。しかし、今度はDSをゲーム機ではなく、すべてのサービスを受けることができる端末機として一家に一台から一人一台を目標にして、世界中の市場を拡大するつもりだ。

 (岩田社長)ゲーム人口を増やすため、パラダイムシフトとも呼べるビデオゲーム市場のドラスティックな変化を引き起こしました。しかし日本では、このゲーム人口の増加というパラダイムシフトは、ほかのどの国よりも早く起こっていました。そのため私たちは、2008年前半には既存の方法では、勢いの持続のは無理だと考えていました。

 そこで、DSのマーケットを再び活性化させようと、2008年11月1日にDSiをリリースしました。任天堂はDSを「所有者の生活を豊かにするマシン」と位置付けました。DSiは一家に一台から一人一台を目標に開発しました。

 弊社の調査によると、1台のDSが家族の複数人によってシェアされている場合が多いことが分かりました。「ゲーム人口を増やす」ためには、「これまで全くゲームをしたことがなくて、WiiやDSを初めてのゲーム体験として購入する」という人を増やすことが大事です。しかし、「所有者の生活を豊かにするマシン」という目的を達成するためには、一家に一台から、一人一台にすることが重要です。

 DSiは、ユーザーが各個人のDSiをカスタマイズした個人専用DSの実現が目標です。カメラやオーディオ機能をつけたり、「ニンテンドーDSiショップ」からソフトをダウンロードして保存できたりすることは、実現に近づきそうです。DSiは日本で既に200万台以上売れており、一人一台の目標に近づいていると思います。

 2008年1月には1家族あたりユーザーは2.8人、DSは1.8台だったが、2009年1月には1家族あたりユーザーは3.3人、DSは3.1台になった。順調な伸びだが、一人一台の代名詞といえばやはり携帯電話。ケータイ人口は世界に40億人とされるが、やはり最大のライバルになるのは間違いない。ケータイに勝って世界No.1になれるかどうか。その秘策とは何か。(つづく)

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