頑張った分だけ報われるのが相撲
必死の思いで稽古をして、土俵に上がる。負ける時もあれば、ケガをする時もある。星の貸し借りや、売買をすれば楽になる、と考える時はないのだろうか? 率直にぶつけてみた。
「そんなことは一度も考えたことはないし、今でも後悔はしていない」と短く力を込めた。
そんな苦しい思いをしてまで、なぜ相撲をするのか。「八百長」に手を染めてしまえば楽なことは言うまでもない。だが、別の元力士は「相撲は平等だから。頑張った分だけ番付けを上げることもできる。それがチームスポーツとは違うところですから」と語った。
野球やサッカーなどのチームスポーツは、チーム戦術に合う選手が選ばれる。必ずしも実力だけではないチーム事情が反映してしまうものだ。相撲は強い者、つまり勝った者が上に行く。シビアだがこれほどシンプルな世界もない。
元関取は「安芸乃島関(現在の高田川親方)のように自分のプライドを持って、すべてを土俵でぶつけるという力士がいるから、お客さんも見てくれるんです。そして番付を上げていくストーリーっていうのが、日本のスポーツの美学じゃないですか。今の力士からは、あまりそういう雰囲気は感じません。相撲の人気がないのも分かる気がします」と現状を嘆く。
相撲にジャパニーズドリームを求めるのは、もはや遠い日の昔話なのだろうか?
この問題については、厳正で公正な調査を期待したい。