東日本大震災の「関西特需」は一瞬だけ

関東の代替え需要がこれまでの努力を潰す?

 関西特需ともみられる動きだったが、「一時的なもの。通常のオフィス空室率の改善にまではつながっていない」(不動産関係者)のが現実だ。

 人材動向にくわしい外資系人材紹介会社の関係者はこのように話す。

 「日本での本社機能を、今年夏にも大阪から東京に移そうとしていた外資の医療系企業が、今回の震災で計画を見合わせたことはあった。だが、東京から管轄していた中国、韓国、ベトナムなどを含めたアジア・パシフィック統括機能については、中国・上海や韓国・ソウルに動かすことを検討している企業も少なくない」

 関西空港の3月の国際線貨物取扱量は、前年同月より13.5%増加。一方で成田空港では、輸入額17.9%減、輸出額は10.2%減となった。

 関西で、関東の代替需要が出ていることは明らかだが、「代替需要で手一杯になり、地道に行ってきた海外への魅力発信に手が回らなくなることが心配だ」(関西財界関係者)との悲観的な見方もある。


大阪経済を象徴する御堂筋。オフィス空室率 の大幅改善は見られていない。

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