日本でも「PT封じ」は検討されはじめている
「富裕層、海外、無申告」。
この3つは国税庁が今後、重点的に取り組むテーマとして掲げているものである。しかし、そもそもの出口を締める「PT封じ」も検討されているのだ。
原武彦・税務大学校教授の研究論文「非居住者課税における居住性判定の在り方-出国税等の導入も視野に入れて」のさわりの部分には、次のような一節がある。
「数か国にわたり居住地を転々とする『永遠の旅人』に対する課税の問題も指摘されている。これは、居住者、非居住者の居住形態の判定方法の問題及び非居住者になった後に課税されないこととなる所得等についてこのままの課税方法でよいかという問題等を含んでいる」
ハッキリと「永遠の旅人」、つまりPTのことを意識しているのだ。木村氏は「国籍離脱や、永住権放棄や居住地の移転の際に、所有財産を時価で譲渡したものとして、所得税や譲渡税を課す制度で、米国やドイツが有名です」と指摘。つまり、出国の際に徴税される「出国税」を取る時代がくるだろう。
もはや国税庁も、大震災でさらに富裕層の資産は海外に逃げていく、ということは意識しているだろう。となれば、当局は準備をしているのもまた当然。新しい封じ込めの制度ができるまでに、海外に資産の一部を移しておく人がさらに増えるかもしれない。