五輪で金メダルを取るより簡単
オリンピックで金メダルを獲得できるのは、その種目でただ一人。それに対して、東大の平成23年度の入学者数が3158人。それが、杉山さんの自信の拠り所の一つであった。「行けるじゃん」。
「傾向と対策をバッチリと立ててやれば、受かると思いました。目標を定めてどうしたらいいか、効率的にやっていけばできると思っていました」
つまり東大合格が最大の目標であって、そのための勉強をすることが大事となる。そのためには余計な勉強はせず、また従来の普遍的なセオリーとされるものを疑ってかかる必要があった。
以下は実際に杉山さんが選択した手段だ。どれも、定石を無視したやり方に思われるものの、実は東大合格という目的には無意味だったり、あるいは杉山さん自身には向かなかったりというものだ。
「まずは赤本から」
「予備校へ行かない」
「板書をしない」
「授業の予習をしない」
「電卓を使う」
「何時間勉強するというより、ここまでやると決める」
「捨てるところは捨てる」
なぜこんなことができたのか? それは「わたしは優等生ではなかったので、授業も真面目に受けていないし、それで誰にも注意されなかったのが良かったのでしょう」と話す。優等生ではないことがかえって常識をもう一度考え直すきっかけになった。
杉山さんは、一浪こそすれ合格を果たした。