シャープ工場見学が大スターのライブ並みに競争率が高い

片山社長は社員から軽んじられている?

 「5000人の希望者があったのに、見学できたのはわずか百数十人…って。これは何ですか? なんで、5000人を喜んで招待しようとしないのか! 世間のシャープに対する目がどうなのか、認識が甘すぎる!」

 「トヨタ(自動車)は、工場見学に3万人の応募が殺到したとき、3日間の予定を1カ月間に延長して全員を見学させたというじゃないですか。こういうのがブランド力というんじゃないですか」

 運よく抽選に当たって見学できたという別の株主も怒っていた。「見学に役員が一人も来てなかったのはどういうこと?」

 株主軽視の会社だとの印象が強く残った。もっとも、片山社長は謙虚だった。「ご指摘を真摯に受け止め、工場見学の問題も必ず改善したい」と約束したのだ。だからこそ、見学会については何らかの対処をしているものと株主の多くは思う。

 こうした総会での社長の受け答えを、当然、問い合わせ先のシャープの担当者は知っている。だが、株主が話したトヨタの事例について暗に引用し「たとえば、全員を招くとか、そういう規模でやっている工場はない、と聞いております」とまで話し、希望者の多くを参加させるなどということは、「ありえない」と、いわんばかりだった。

 この際、トヨタの事例が真実かどうかはどうでもいい。改善を約束した片山社長の話を聞いていた株主にとっては関係ない。株主の多くは、社長の言葉を信じ、「今年こそ見学できる…」と期待に胸を膨らませている。

 最終的に、株主の怒りの対象となるのは片山社長である。まさかと思うが、片山社長は、社員に軽んじられているのだろうか。抽選は8月下旬。結果を知った株主から不満が噴出するのは間違いなさそうだ。


工場案内の募集要項

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