経済産業省の役人の頭の中(上)

天下り先を死守することは至上命題

 トップ3人が一度に更迭されるという非常事態であっても、結局は何も変わらないようだ。今後の原発行政はどうなるのか。国民も財界もわかりかねているのではないか。官僚たちの頭の中は?

古賀氏)
 官僚は信じ込んでいます。原発なしでは産業に大きな影響を与えて、企業がどんどん外に出て雇用が減っていく、と。だから、原発を稼働させるのは国民のためだと信じ込んでいる、とわたしには見えます。もはや、中立の目で見えなくなっているんです。

 役人の生活の仕組みは今の法律や制度を前提に、そこに予算や独立行政法人、公益法人や団体をぶら下げて天下りのポストをたくさん作って、キャリアは70歳くらいまで生活は保障されます。

 しかも原発となると規模が大きく、制度を根本から変えると、生活保障の仕組みが一回なくなるということです。彼らはそういう事態を想定して、保健をかけた議論もしていますが、そこまでリスクの高いこと(脱原発など)には、本能的な拒否感は持っていると思います。自分たちの生活がなくなる恐怖感というものがありますからね。

 未曾有の事態が生じた時に、ゼロから考えていかなくてはならないのですが、初めてのことをやるのは責任を伴うので、役人はそれを嫌います。前例踏襲主義なので、過去の人にも責任が及んできますし。

 生活保障という面と、役人の習性という構造的な問題があると思います。経済産業省の役人の頭の中(下)

 後記)経産省は霞が関の中では比較的、改革派がいると言われている。古賀氏のもとにも話をしに来る若手は多いのだという。ただし、生活の保障ということを考えれば人間だれしも弱い。多くの政治家が唱えては実現できなかった公務員制度改革が必要なことは言うまでもないが、それをやらずして、前進はなさそうだ。

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