幸之助が政治家になった方が
関西地方のあるベテラン保守系議員がそう語っていたことがあった。さらに、続けて「(松下政経塾の卒業生は)どうせ民主党に行くから公認しにくい。自民党は厳しい上下関係が残っているが、そこで若手は育てられる。民主党では面倒までは見てはくれないよ」と過去に語っていたことがある。
政経塾OBはサッカーで言うところのFW志望ばかりと揶揄されるが、試合とは、FWどころか、まずはベンチに入れるかどうか、という所から始まる。自民党よりも民主党に多いのは、長老たちの下でイチから苦労するよりは、早く試合に出場できるという算段からなのか?
なぜか、記者の間でも評判は芳しくない。記者が政経塾OBについて口を開けば、ほぼ良いことは言わない。「理想が多い」「きれいごとばかり」「態度や言動がハナにつく」「官僚を使いこなせない」などという感想が聞かれた。辛辣な記事をよく見かけるのは、このためだ。
講演で、樽床伸二氏と同席した、政経塾2代目塾頭の上甲晃氏は政策を実現するための段階を次のように示した。
1理論体系を示す、2実現までのダンドリを作る、3実行する
これで言うなら政経塾OB議員たちは、まだ1の段階か。また、前述したように「官僚を使いこなせない」ために、2、3の段階は完全に掌握されてしまっている感もある。それを塾で学ぶことができるかどうかについては疑問が残る。