海外ファンドで年利3~5%で運用
松下政経塾については、財務面がまったく謎のベールに包まれている。明らかになっていることと言えば、幸之助が70億円を投じ、松下グループの企業献金から50億円と合わせて約120億円の資金でスタートした。そのうち、施設建設で20億円の費用がかかったということだけだ。
スタート時から巨額の資金があったことは有利には違いないが、30年以上も存続しているあたりは立派の一言だ。残り100億円ということになるが、関係者によると、スタッフ16人で年間3億円以上の運営費が掛るのだという。当然、運用益がなければ、もう資金は底をついていることになる。
運用については、古山和宏塾頭が過去に韓国メディアの取材で、運営資金は100億円で、このうち80億円を海外ファンドで運営し、年間3億~4億円の収益をあげて使っていることを明かしている。だが、円高で苦しいということも吐露している。
年利にして3~5%程度ながら、公益法人のため税制で優遇されており、運用益だけで運営することはほぼ可能だと言えるだろう。ただ、現在にいたるまでに相当なリストラを経験し、何とか存続する体制を作ったこともあるそうだ。もちろん、投資環境も年によっても違うため、今後もずっと安定的な運用ができるかどうか。
実は、運用面でもこうした一抹の不安は残っている。