反対派の伸長と井川氏の怪しい動き
人事などでも創業家の意向が優先されてきたことは、風土からも理解できる。しかし、反対派に知らぬ間に外堀を埋められていたのだ。井川氏が毎週のように週末になると、マカオのカジノに通うようになったことは、社内では知られていた。以前ほど仕事に身が入っていない様子の井川氏は当然ながら、快く思われていなかったことだろう。
だが、それだけではないようだ。連結子会社への返済に一部を株で収めていることから「株を買い増していくことが、実は融資を受けた真の目的だったのではないか、という話もあります」(前出記者)。
その陰には40代で役員となり、55歳で社長となった実力者・佐光正義氏の存在があった。今度の問題で、佐光社長から、井川氏は退任も勧められたともいうが固辞したそうだ。社内での力関係はすでに逆転しており、井川氏は株式の保有比率を高めようとしたのかもしれない。
特別調査委の調べは終わったものの、東京地検特捜部も動いているとされ、今後の展開はまだわからない。今となってみれば、すべてが間違っていたということになるのだろうか。