オリンパス不正の温床、ある現役社員の戦い

本社ビル内の衆人環視の下で仕事

 濱田さんによると、オリンパスの企業行動憲章には「高い倫理観を持って行動する」とあるそうだ。つまり、この通りに行動するならば、不正があると気が付いた時点で正すように求めるのが義務だということになる。しかし、実際に企業社会、あるいは団体において、そうした行動を取ることを躊躇する人は多い。

 法律的にも06年から施行された公益通報者保護法によって、内部通報した労働者は身分を守られることになっている。しかも、東京高裁は濱田さんの訴えを支持したが、オリンパスは上告し、いまだ過ちを認めようとはしていない。

 08年2月に営業の現場から外され、約4年が経過した今でも、営業の最前線への復帰は叶わない。濱田さんは高裁判決の後も、仕事ぶりや境遇はまったく変わっていないのだという。

 東京・新宿にあるオリンパスの本社。300人くらいの社員が働く部屋のちょうど中央に、濱田さんのデスクが置かれているという。個室に閉じ込められているのかと思ったがそうではないようで、衆人環視の下で何の会話もなく、来る日も来る日も黙々と作業をこなさなければならないそうだ。

 その作業とは「濱田君教育計画」なるカリキュラム。そして、その作業の成果を試すためにテストが行われ、全欠者に付与される点数の半分以下という得点を与えられているという。

 屈辱以外の何ものでもないが、それでも濱田さんはオリンパスに在籍し続ける。

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