オリンパス不正の温床、ある現役社員の戦い

損失隠しと根っこは同じ

 濱田さんは「オリンパスは内視鏡の会社です。いわゆるBtoBのビジネスだから、BtoCのように外からの目はあまり意識しません。シェアも営業利益率も高いために、潰れないし食べていけると思えば、皆、黙っているのではないでしょうか」と語る。

 内視鏡で世界市場のシェア70%という国際的優良企業でもあり、会社に盾突かなければ定年まで雇用は守られ安泰である。ちなみに、組織内で「抹殺」された境遇の人でも、エレベーターなどで同僚と2人きりになれば、会話が生まれるというケースはよく聞く。しかし、オリンパス社内では一切、そうしたことはないのだという。


高山修一社長
 ちなみに、上司のさらに上司にあたる人物に、現在の社長である高山修一氏がいたのだという。濱田さんの現状をよく知っており、責任の一端を担っているとも言えるだろう。それが、このたび20年以上も損失隠しが組織的に行われていたことを認めたのだ。やはり、この内部通報と、損失隠しの問題の根っこには共通するものがあると考えるのが自然ではないだろうか。

 自らの事を「見せしめ」だという濱田さん。「残っても待遇は変わらないのは覚悟しています」とまで言い切る。それでも、なぜ残らなければならないのか。

 「オリンパスが好きだから残っているのです。今までにも、自分のように声を上げたけど、嫌がらせを受けたりして、辞めることになった人もいるのではないかと思うのです。だから、自分は会社に残って声をあげていきたいのです」

 つまり、根っからのオリンパスマンだから。高山社長も同じオリンパスマンとして、部下の訴えをどう聞くだろうか。

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