橋下市長就任前にすでに落城の大阪市役所

 大阪にとって運命の日となる「12月19日」が近づいてきた。大阪W選を制した橋下徹氏が大阪市長に就任する日で、関西電力の冬の節電要請がスタートするのもこの日だ。橋下氏が、「敵」としてきた市役所と関電の関係者にとって、19日は緊張の1日になりそうだ。

職員を「シロアリ」から「優秀」へ


 橋下氏は、すでに市役所に乗り込み、各部局の幹部からレクチャーを受け、議論を始めている。30代の市の関係者によると、「すでに落城状態。橋下氏は飲み込みが早く、指示も具体的だ」という。

 指示内容は多岐にわたっている。選挙公約である都構想に向けたプロジェクトチーム、地下鉄民営化の検討、区長公募に向けての必要事項の洗い出し、交響楽団などへの補助金の再検討、保育所の待機児童対策――など。

 橋下氏は選挙期間中、「職員はシロアリ」「市役所をぶっ壊す」と公言していたが、職員と接しているいまは、態度を和らげている。マスコミに対し、「市の幹部は優秀。機構さえ変えれば、効率的に動く組織だ」と持ち上げてみせたりもした。「裸の王様にならないよう、どんどん意見を言って」とも語りかけている。

 市は約4万人の職員を抱える巨大組織。「政治家としての野心を達成するには、公務員を上手に使いこなせなければいけないことを理解している」(財界関係者)とみられ、若手職員の中には、橋下氏に対して期待する声も出始めているという。


橋下徹氏
 もっとも、幹部だけの聞き取りをしていることに、危惧する向きもある。そのひとつが、区長の公募制と区の権限を増やすことだ。「区役所の職員のほとんどが、生活保護費支給、保健など、法律で決められた行政サービスに張り付かねばならないことを、理解しているのだろうか。いまの組織のままで権限や財源が与えられても、実行する人手がない」(30代男性職員)のだ。

 本庁だけで聞き取りをしても、区役所改革に必要な細部の情報は届かない。19日以降、橋下氏がどこまで掘り下げて聞き取りをするのか、注目しているという。

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