潜入作業員が語る「完全にアウト」な福島第一

線量計は無意味


福島第一原発敷地内(鈴木氏撮影)
 作業員は、線量計(APD)を着用して、自身の線量を管理することになっている。しかし、それは完全な建前だという。

 「線量計には裏表があって、それを逆につけるだけで作業時間は10分伸びます。あと、(作業場の)上部の方が線量が高い時はクツ下の中に入れます。それで30分は作業時間が伸びます。原子炉の上で作業する時は、肩に乗せます。極端な話、(着用せず)置いていきます」

 つまり、線量計での管理はまったく無意味だということがわかる。これらは上から命令されて行っているわけではなく、作業員たち各自の判断だというのだ。それはなぜか、次のような理由からだ。

 「人数や予算が限られているので、その範囲でやらなければいけません。何かあったら『作業員が勝手にやった』ということになるのです」

 作業員に割り当てられた作業量を完了するためには、どうしてもそうした細工が必要になるのだという。しかも、マスク、タイベックスという重装備で作業を行うのだ。鈴木氏が作業を行った時期は真夏ということもあり2、3日にだれか一人は熱中症で倒れていたのだそうだ。

 朝4時起床で、正午過ぎには仕事は終わるそうだ。それは、炎天下での作業を避けるためだというが、それでもこうした過酷な有様だったという。

 そうした懸命の作業が続くのだが、現状の進捗はどうなのだろうか。鈴木氏が見たことや取材の結果からは、次のような状況だという。

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