任天堂社長が語る「不況でも独り勝ちする方法」(前編)

不況に勝つにはウィッシュリストの1番目に入れ

 売上高は1兆5363億円、営業利益は5013億円(2009年3月期の第3四半期)となり、第3四半期業績としては過去最高となった任天堂。営利ベースでは、ついに日本を代表するトヨタ自動車をも上回り、まさに日本経済を支えているといっても過言ではない。なぜ不況でもこれだけの業績を残していけるのだろうか。(以下、岩田聡社長、宮本茂専務)

 (岩田社長)リセッションの時に、ウィッシュリスト(欲しい物のリスト)の1番にあるものと、ウィッシュリストの3番、5番、10番にあるものは影響の受け方が全然違うと思います。任天堂が幸いにして世界の経済環境の変化をあまり受けずに来ているのは、DSやWiiをウィッシュリストの1番として欲しいと言っていただけるお客さまの数が多かったからだと私は思っています。

 我々の作っているものが他社の作っているものとほとんど変わらないもので、どっちが安いかで勝負をしているのであれば、値下げをすることによって需要を大きく喚起することができるでしょう。でもビデオゲームというのはそういうプロダクトではない、と私は信じています。

 もちろん、未来永劫禁じ手にする気はありませんが、値下げが有効な方法だとは思っていません。それよりも、ウィッシュリストの3番や5番では後回しになるので、どうやったらウィッシュリストの1番にしてもらえるかを追求したいと思います。


任天堂の岩田聡社長。右は宮本茂専務

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