100億円遊び倒したティッシュ王子の失敗

 大王製紙の井川意高(もとたか)前会長(47)が子会社から100億円以上の資金を借り入れていた問題。東京地検特捜部も全容解明に乗り出すなど、もはや刑事事件化は避けて通れず、そして、会社も追われた。しかし、意外なほど評判は良く、いったいどこで道を踏み外してしまったのか。結果として「金持ち」の世間的なイメージを悪くしてしまったのは残念だ。

銀座歴20年以上の猛者?

 「遊びなれた感じというか、堂に入っているというか、生まれながらにして大金持ちとはこういう人を言うのかなと思いました」

 井川意高氏を見た全国紙社会部記者が、印象をそう語った。製紙・パルプ業界の風雲児とも呼ばれた父・高雄氏は、大王製紙を業界でも屈指の存在に育て上げた剛腕経営者の長男として生を受け、帝王教育を授かってきたからだろう。銀座デビューは東大在学中からという筋金入りでもある。

 「銀座で井川さんを嫌いな人は誰もいないでしょう」


 銀座に店舗を構えるあるオーナーは言う。というのも、定期的に通って、しかも、いつも現金払い。運転手付きの車で乗り付け、そして店を出る時に迎えが来る。恰好よく、酒も強く、話もおもしろいそうで人気者だったという。それでいて「仕事は毎日遅刻しないんですよ。銀座からそのまま会社に出勤したこともあったとは聞きますけどね」と話す。もちろん、銀座にとどまらず、六本木、麻布など遊びや交友の範囲は広かった。

 仕事と遊びが忙しいのか、しだいに家庭との距離は遠のいていったようだ? 東京・広尾の6億円とも言われる豪邸には住んでいないのだという。

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