米上院常設調査小委員会は、大手ヘッジファンド運用会社ルネッサンス・テクノロジーズが、英バークレイズ銀行、ドイツ銀行との間のバスケットオプションを用いた取引で、14年間に総額60億ドル(6000億円)以上の租税を回避していた疑いがある、と発表した。同ファンドの幹部が公聴会で証言する。
同委員会委員のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)は「この件にかかわった銀行やヘッジファンドは、短期的な株式取引の税務上の取り扱いを変更するために平均的なアメリカ人投資家が行うことができないようなバスケットオプションを形成して、それを使った」と指摘。
さらに「一般の国民には何十億ドルもの課税がなされる取引が、それを免れた。ドイツ銀行、バークレイズ銀行は10年以上にわたって、バスケットオプションを使用。1998年から2013年まで199のバスケットオプションを売却した。小委員会は、その最大のユーザーであるルナサンス・テクノロジーズに焦点を当てた」としている。
バスケットオプションとは、オプションの対象資産が複数の金融商品となっているオプション。株式、債券、通貨など複数の商品価格が対象となっている。
ルネサンスは、IRS(米国歳入庁)との間で課税をめぐって司法の場で係争中。具体的なファンド名は同社の旗艦ファンド「メダリオン・ファンド」であることも判明した。メダリオンは、現在は引退しているが、同社創業者でヘッジファンド界のレジェンド、ジェームズ・シモンズ氏が設立したルネサンステクノロジーのファンド。年間手数料5%、成功報酬40%という業界平均をはるかに超える手数料体系で、それだけ高いリターンを誇っているが、従業員か元従業員のみが投資家となっている。
では、どのようなスキームで行われ、どのくらいの手数料体系で租税回避が行われてきたのか。