バドミントンの桃田賢斗、田児賢一の有力2選手が東京・錦糸町の裏カジノに頻繁に出入りしバカラ賭博を行っていたとして処分を受けた。そもそもバカラ賭博とは富裕層の遊びであるが、一文無しになるほど熱くなるゲームだとも言われる。なぜ、現代においても金を吸い上げられ、落ちていく人物が後を絶たないのか、事情通の話などを通して見ていく。
そもそもバカラはイタリア語で「0」(ゼロ)という意味であり、言い換えれば「一文無し」ということでもある。語源通りにイタリアが発祥の地で、中世で欧州全土に広がっていった。いわゆる王族・貴族たちの遊びであり、現代でもマカオのカジノでも「HighRoller」(ハイローラー)と呼ばれる賭け金の多いVIP顧客の8割以上がバカラに金を出すという。もちろん、これは合法カジノの話で、日本では違法であり、裏カジノを知る事情通に聞いてみた。
◆警察に摘発される店舗で、よく聞くのはバカラ賭博ばかりだが、なぜか。
「勝負は1分以内に決まるし、回転が早いので効率が良く何回もゲームができるから。他の遊びだとそうはいかない」
◆胴元で勝敗を操作できるのか。そうでなければ、みななぜ大損をするのか。
「操作なんてできないし、しても意味がない。バカラは理論上は勝率は50%になるが、テラ銭を何%か取っているし、たまに大勝ちする客もいるが、よほど連勝でもしないかぎりは客に勝ち目はないようだ。1回100万円とか大金を賭ける客もいるし、それで冷静な判断などできやしない。金貸しをいっしょにやっていたりする店もあるから、店の思うつぼだ」
◆店を運営している人間は
「借金で首が回らなくなった人間などを(暴力団などがスカウトして)店長にする。聞いている所では、給料は月4、50万円プラス出来高。捕まるかもしれないリスクを考えたらどうしようもない額だけどね。ちなみに、店員が捕まって出てきても、もう一回この仕事に就く人間も多い。そこでまた、自分のなじみの顧客に声をかけて店に来てもらうようだ。そして、再犯でまた捕まっている人間も多い。裏カジノに関わった店も客も一生、足抜けなんてできやしないみたいだし、やらないのが一番いい」
総額で約170億円を賭け事で失ってしまった大王製紙の井川意高元社長は知り合いに誘われて東京・西麻布の裏カジノに行くようになった。「店じまいが近いのか、資金を回収しようとしているのがわかった」と冷静な目を持ち合わせているかと思えば、マカオのカジノに行くようになったことを「上場企業ならイカサマはしないだろう」という理解に苦しむような言動も当時はしていた。
井川氏の言葉は◆105億円使い倒した御曹司の心の闇(2)でも取り上げているが、1日で10億円勝ったこともあるのだという。たまにこうしたこともあれば、気分が高揚してハマるのもわからないでもない。バカラは丁か半かという単純な要素のゲームのために、勝った時の高揚感が強く中毒性が高くなるのだという。また、賭けごとの中では最も理性が利かないゲームとも言われるほどで危険なものでもある。
また過去には、東京都の狛江市長が韓国のカジノに通いつめて借金30億円を作り、借金の取り立てに来る暴力団から逃れるために出家したこともあった。
厚生労働省の調査ではギャンブル依存症の疑いがある人は約500万人。またギャンブルにも遺伝性があり、そのことはUCバークレー校などの調査で確認されている。富裕層はもちろんだが一般の人も、一度、裏カジノに入った人間は抜け出せなくなる可能性があるということを再認識させられる。