銀座ママの「枕営業」に溺れた社長に待ち受ける財産分与と甘い罠

「枕営業」が不法行為に当たるとして、社長夫人が銀座のクラブママを相手取って400万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は妻の訴えを退ける判決を出していたことがわかった。これまでの判例を覆した以上に、始関正光裁判官は「枕営業をする者がいることは公知の事実」と認定した点で世間を驚愕とさせた今回の訴訟。男性は離婚による財産分与を恐れていたというが、では、富裕層は堂々とクラブ通いができるようになるのか? しかし、夜の街での枕営業について「客との枕はありえない」と銀座の現役ホステスは斬り捨てるが…

ママは男女関係を否定

 訴状によると、中小企業社長A氏(50代)と、銀座ママとの逢瀬は平成17年から24年までの7年間で月に1、2回程度重ねてきた。夫婦は別居状態になるなど、妻は精神的苦痛を受けてその損害額は400万円を下らないとした。しかし、過去の判例では、夫婦の貞そう義務に違反し結婚生活の平和を害するとして、肉体関係を持った第三者の責任も認めてきた。

 だが、今回の始関裁判官は審理を1回で打ち切ろうとし、また、尋問の申請も取り合わず、結局は審理を2回で終結。下した判決は「(ソープランドとクラブは)直接的か間接的かの違い、クラブママが客との性交渉を継続したとしても、売春婦の場合と同様に客の性処理に応じたにすぎず、婚姻平和を乱すものではない。妻が苦痛を受けても、不法行為を形成するものではないと解するのが相当である」と、訴えを退けるものだった。

 さらには「クラブでは『枕営業』と呼ばれる営業活動を行う者も少なからずいることは公知の事実である」とまで言い切っているのだ。根拠は挙げていないが、すでにみんなが知るものだと裁判所が認定してしまったのは驚きだ。

 一方で、ママの主張は、不貞行為の相手は別の女性で請求相手はA氏であるべきというもの。2人の男女関係は証言がベースであり「当事者間で争いがある」としている。では、銀座をはじめ、夜の枕営業の実態とはどのようなものなのだろうか。

※原告が提出したこれまでの判例の一例
最高裁昭和51年(オ)328
最高裁昭和53年(オ)1267
最高裁平成5年(オ)281

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