脱税は真実よりもリアリティでシラを切り通せ「闇の番人」田中森一(5)

 田中森一は弁護士時代、多くのバブルの紳士の顧問弁護士を引き受け、彼らの脱税指南役と称された面もあった。

どんな人間でも助けてもらう権利がある


 「指南役というと、悪いことを教えているように聞こえるがそうじゃない。どんな人間でも法の前では平等で、助けてもらう権利がある。弁護士は犯罪者として国から訴追された被告人の権利と利益を擁護するのが仕事だ」

 ある高利貸しが脱税で逮捕された。有罪判決が下れば正規の税金の他に重加算税が35%、延滞税が15%、罰金が30%ぐらい加算される。金がないし、そんなに払わされたらたまらないと田中に弁護を依頼してきた。

 高利貸しはヤクザからのイチャモンに備え、自分もヤクザを雇いお守りを付ける。田中はこれに目を付けた。お守り代は50万円程度だが、裁判で被告人はこんな答弁をする。

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