劣後債とは?メリットやデメリット・リスクを紹介!発行体は銀行などの金融機関が多い?

目次

劣後債とは?劣後特約付社債の意味や特徴

劣後債は債券の一種で、企業が資金調達のために発行する社債に該当します。社債は発行体企業が破綻しない限り、満期を迎えるまでは一定額の利息が支払われ、満期を迎えると元本が払い戻されます。この点は劣後債でも普通社債でも同じです。

劣後債と普通社債は、発行体企業が破綻した時の弁済順位が異なります。劣後債の正式名称は「劣後特約付社債」といい、普通社債よりも経営破綻した時の弁済順位が低く設定されることが特徴です。

劣後債は普通社債よりもハイリスクになりますが、普通社債よりも高いリターンが期待できます。なお、劣後債のリスクとリターンは普通社債と株式の中間に位置するため、「ハイブリッド証券」と呼ばれることもあります。

劣後債のメリット

劣後債は普通社債よりもリスクが高い分、普通社債にはないメリットが存在します。普通社債よりも高利回りであることは大きなメリットですが、ドル建てで資産形成できることも劣後債のメリットです。それでは、劣後債のメリットを見ていきましょう。

他の債券より利回りが高い

劣後債は他の債券よりも高利回りであることが大きなメリットです。劣後債の利回りは普通社債の金利よりも高く設定されており、より高利回りが期待できます。銘柄によって劣後債の利回りは異なりますが、年率数%以上が見込めるケースが多いです。

債券には国債と社債がありますが、日本国債の利回りは0.05%程度です。日本国債と比べると劣後債の利回りは数十倍高いため、国債で資産運用をするよりも効率良く資産を増やせます。

ドル建てで資産形成できる

ドル建てで資産形成ができることも劣後債のメリットです。ドル建ての金融商品は、利息だけでなく円安になった場合は為替差益も発生します。そのため、為替レートが円安で推移することが見込めるときに劣後債を購入すると、効率の良い資産運用が可能になります。

近年は海外進出をする日本企業が増えており、ドルを調達するためにドル建てで劣後債を発行する企業が増えています。ドル建てで劣後債を発行した場合、利息はドルで支払われますが、円に両替することも可能です。

なお、メリットの裏返しになりますが、為替レートが円高になると為替差損が発生するので、ドル建てで資産形成できることは逆にデメリットになる場合があります。円高の局面でドル建ての劣後債を購入すると、為替差損が発生する恐れがあるので注意が必要です。

劣後債のデメリットやリスク

劣後債のデメリットやリスク

劣後債は他の債券よりも高利回りが期待できますが、デメリットやリスクが存在します。劣後債を購入する際は、利回りの高さや円安時の為替差益だけに着目するのではなく、デメリットやリスクについても知っておきましょう。

弁済順位が低い

劣後債のデメリットとリスクは、普通社債よりも弁済順位が低いことです。万が一、発行体企業が経営破綻した場合は普通社債の方が先に弁済され、劣後債は後回しになります。負債額によっては元本を大きく割り込むことがあり、大損する恐れがあります。

普通社債よりも弁済順位が低いことによるリスクは「劣後リスク」と呼ばれており、劣後債に特有のものです。同じ劣後債であっても銘柄によってリスクは異なり、発行体企業の信用力が低いほどハイリスク・ハイリターンになります。

期限より前に償還されることがある

劣後債は期限より前に償還される「期限前償還リスク」が存在します。発行体企業が満期前償還の権利を行使すると満期が到来する前に償還されるため、期待できる利息を受け取れなくなります。

このように、劣後債は期限前償還リスクがあるため資産運用の計画が立てにくく、計画通りに資産運用ができない場合があります。償還された資金を再投資した場合でも以前と同様の利回りで運用できるとは限らず、計画通りに資金を増やすことは難しいでしょう。

発行企業の信用リスクがある

劣後債は発行企業の信用リスクがあり、経営不振や財務状態の悪化などで発行体企業が経営破綻することがあります。これは劣後債だけではなく普通社債にも該当し、発行企業の信用リスクはあらゆる社債に存在します。

劣後債のリスクを軽減するには、信用力のある企業が発行する劣後債を購入することが重要になってきます。ちなみに、国債も発行国の信用リスクがあり、国債の発行国がデフォルトをすると大損する恐れがあります。

元本割れする可能性がある

劣後債は元本割れする可能性があります。劣後債は発行体企業が経営破綻しない限りは普通社債を上回る利息を受け取れますが、元本割れリスクがあることは知っておきましょう。

ただし、元本割れリスクはほとんどの金融商品に存在するので、劣後債に特有のリスクではありません。なお、満期前に中途売却をする際も元本割れを起こすことがあるため、中途売却をする際はタイミングを見定めることが大切です。

売買の自由度が低い

劣後債は売買の自由度が低く、流動性リスクが存在します。劣後債を中途売却する場合、すぐに買い手が見つからないことがあり、現金化の遅延や元本割れを起こすことがあります。なお、劣後債は債券であるため、金利水準の変動によっても流動性は変化します。

特に発行体企業の経営状態が著しく悪化した場合は一時的に流動性リスクが高くなり、売りたいタイミングで売れないことがあります。ただし、一般的に債券は株式よりも流動性が低く、劣後債に限ったデメリットではありません。

劣後債の発行体(発行企業)は銀行などの金融機関が多い?

劣後債の発行体は銀行や保険会社などの金融機関が多いです。金融機関が劣後債を発行するケースが多い理由は、劣後債を発行することで自己資本比率を高められることにあります。

発行体のメリット:自己資本比率が比率が高まり規制をクリアしやすい

劣後債は制限付きで自己資本に組み入れることができ、企業の資本増強の手法として用いられます。金融機関は、取引先や預金者の安全を確保するために自己資本比率を一定水準以上に保つことが求められおり、劣後債を発行することで自己資本比率を健全に保てます。

自己資本比率は企業経営の安全性を示す重要な指標であり、総資本に対する負債の割合のことです。自己資本比率が低い企業は負債が多く、経営破綻するリスクが高くなります。

そこで、企業は劣後債を発行して自己資本に組み入れることで、自己資本比率を高くしています。その結果、当局の規制をクリアしやすくなり、企業の安全性が向上します。

特に金融機関は自己資本比率の健全性が求められており、劣後債を発行する金融機関が多い理由になっています。

発行体のデメリット:株価が下がる傾向がある

劣後債を発行すると株価が下がる傾向があります。ただし、劣後債を発行しても株価が下がらない場合もあり、劣後債を発行すると必ず株価が下がるわけではありません。劣後債の発行による株価への影響は、どのような目的で劣後債を発行したかによって決まります。

資金繰りの悪化などで資金調達をするために劣後債を発行した場合は、信用リスクが高まり株価が下がることが多いです。一方で、財務基盤の強化などを目的に劣後債を発行した場合は株価が上昇することがあります。

劣後債での資産運用がおすすめなのはこんな人

ドル建てで資産運用したい

ドル建てで資産運用したい人は劣後債が向いています。ドル建ての劣後債を購入すると、利息だけでなく為替差益も発生するケースがあるので、効率良く資産を増やせます。

為替レートが円安になるほど為替差益が生じるため、円安の状態が長く続くと予想される場合はドル建ての劣後債での資産運用が適します。ただし、円高になると為替差損が発生するため、ドル建ての劣後債を購入する際は注意が必要です。

リスクを取ってでも高いリターンを狙いたい

リスクを取ってでも高いリターンを狙いたい人は、劣後債による資産運用が向いています。日本国債の利回りは0.05%、普通社債の利回りは1%程度なので、劣後債は他の債券と比べると高いリターンが期待できます。

劣後債などのハイブリッド証券の利回りは、普通社債と株式の中間になります。劣後債による資産運用はミドルリスク・ミドルリターンの運用をしたい人に最適です。

さらに、他の債券についても詳しく知りたい方は、以下のリンク先のページをご覧ください。

債券の種類
仕組債 劣後債 ハイイールド債
EB債

劣後債以外での資産運用を考えている方は?

ここまで見てきた通り、劣後債のメリット・デメリットはさまざまです。一般的な社債よりも弁済順位が劣ることが大きな特徴で、そのリスクを許容することで通常よりも高利回りでの運用が期待できます。

一方で、劣後債以外でも資産運用をしてみたいと思う投資家の方もいるでしょう。そんな方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。

ヘッジファンドダイレクトでは、劣後債以外にもさまざまな金融商品を組み合わせて運用するヘッジファンドを紹介しているので、「あらゆる商品の中から最適なものに投資して資産運用したい」と考える投資家のニーズを満たしてくれるでしょう。

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