歴史的な買い場が到来したパリ不動産

2000年から年15%ずつ上昇

 フランス公証人議会の発表では、この30年間ずっと右肩上がりで価格が上昇してきたパリ不動産に、2011年後半から価格下落のトレンドが見られるようになった。2012年第一四半期は平均して1%以上下落し、その兆候は第2四半期も続き、5%以上下落している場所もある。

 これは2012年の税制改革の影響がある。パリの不動産は特に2000年から、年率15%と急激に価格が上昇、フランス人の手に届かないようになってしまった。そこでキャピタルゲインに関する税制の変更が行われたのだ。

 これまでは15年経てば、値上がり物件のキャピタルゲインにかかる税金は全額免除されたが、新税制下では短期で売却すると課税されるようになった。投機は抑制され、「絶対に値下がりしない」パリの不動産に歴史的な買い市場が到来したのである。

 嫁兼氏も「この数十年ではじめて買い手市場になりつつあり、前述のパリ8区のような掘り出し物件が見つけやすくなっています。このマンションのあるエリアは2012年の最初の四半期で5%下落し、現在の平米単価は1万1500ユーロです。しかしシャンゼリゼから徒歩で5分という好立地を考えれば近い将来1万6000ユーロ(1平方メートルあたり)まで上がる可能性が高いです」と語る。

 紹介したパリ8区のワンルームマンション(23平方メートル)は2012年に27万ユーロだったが、3年前であれば39万ユーロ以上。パリ不動産には、掘り出し物がゴロゴロと転がっている今は絶好のタイミングと言えるだろう。

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