「アピシウス」のリストへ
情野博之氏
情野の常識では、甲州ワインは「軽くてさっぱりしている」というものだった。ところが「鳥居平」は真逆で、重厚さがあってボディがしっかりしており、香りも素晴らしい。「ぶどうにかける作り手の強い思いが感じられた」という。魅せられたといって良い。とはいえ、「トゥールダルジャン東京」はフランス産ワインしか置かない。
「アピシウス」も同様だった。ところが「アピシウス」に転職してきたとき、オーナーから「スペインのワインを1本、ワインリストに入れてくれないか」と頼まれた。
情野は「それなら日本のワインも入れるべき」だと考え、勝沼の今村にお願いした。こうして「アピシウス」の数十本あるワインリストに、日本で唯一「鳥居平1977年甲州」が載ることになった。
フォアグラなどどんな料理にも合い、フランス人のお客さんからは「日本にこんなに美味しいワインがあったのか」と驚かれているという。貸し切りパーティーの背景にはこんな縁があったのだ。