「日本にこんなワインがあったのか」~鳥居平物語(最終回)

「アピシウス」のリストへ


情野博之氏
 「アピシウス」では、売上が落ちるから基本的に貸し切りはしない。なのに何故。そこには同店のシェフソムリエ情野博之の存在があった。情野はホテルニューオータニの「トゥールダルジャン東京」で働いていた10年ほど前、「鳥居平1968年甲州」に出会って新鮮な驚きに包まれた。

 情野の常識では、甲州ワインは「軽くてさっぱりしている」というものだった。ところが「鳥居平」は真逆で、重厚さがあってボディがしっかりしており、香りも素晴らしい。「ぶどうにかける作り手の強い思いが感じられた」という。魅せられたといって良い。とはいえ、「トゥールダルジャン東京」はフランス産ワインしか置かない。

 「アピシウス」も同様だった。ところが「アピシウス」に転職してきたとき、オーナーから「スペインのワインを1本、ワインリストに入れてくれないか」と頼まれた。

 情野は「それなら日本のワインも入れるべき」だと考え、勝沼の今村にお願いした。こうして「アピシウス」の数十本あるワインリストに、日本で唯一「鳥居平1977年甲州」が載ることになった。

 フォアグラなどどんな料理にも合い、フランス人のお客さんからは「日本にこんなに美味しいワインがあったのか」と驚かれているという。貸し切りパーティーの背景にはこんな縁があったのだ。

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