老人が早く死ねば死ぬほど儲かる不動産投資

老後の生活防衛の秘策となるか?

 ここまでは若者の投資家側の視点から見てきたが、高齢者側から見れば、ありがたい制度でもある。つまり、一種の「私的年金」という考え方もできるからだ。

 前述の例1で紹介した女性だと、日本円にして毎月約6万円の支払いを買主から受けることになる。補助的な年金としては、これで十分だろう。

 日本の場合は、生命保険文化センターの発表によると、ゆとりある老後生活費を送るには月額36.6万円、最低でも22.3万円必要になる。

 ところが夫婦2人で満額の国民年金79万円×2人分と、厚生年金100万円を受け取っている場合でも、最低の生活をするにも年額50万円程度不足する。ゆとりを持って生活するには年間200万円以上足りないのが現状だ。

 もしも、ビアジェを日本でも活用したらどうなるか。人の寿命を経済合理性で換算する制度であるために、その無慈悲なまでの徹底した合理主義に抵抗を感じる人もいるかもしれない。特に、日本人ならばなおさらだろう。ただ、生前に財産を現金化でき、しかも住居に住み続けることができるメリットは大きいことは確かだ。

 ただ、こうしたメリット以上にトラブルが起こり得る可能性が、取引を激減させている理由だろう。

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