105億円使い倒した御曹司の心の闇(1)

負けるのは「イカサマ」のせい

 第5回公判の中で検察官から、ここまで使い込むまでになった理由を訪ねられた意高は次のように答えた。「初めは勝ったり負けたりでしたが、しだいに負けてばかりになり、イカサマをされているのではないかと考えるようになりました」。そこからのめり込んでいくのに時間は掛からなかった。

 御曹司の心の闇をどのように見るか。精神科医の高木希奈氏は「精神医学的には、いわゆる依存症の分類には入りません。衝動制御の障害の中の“病的賭博”というカテゴリーに入ります」とした上で、次のように答えた。

 「賭博をしたい強い衝動を抑えることができず、常に賭博が頭から離れなくなり、繰り返し行ってしまうため、嘘をついたり法律を犯してまで資金を得て、ついには仕事、家庭、日常生活等に支障をきたし多額の負債を背負ってしまう…という経過をたどります。ストレスが多くなったり、不快な気分(無気力、不安、抑うつなど)がひどくなると、ますます賭博の頻度や掛け金が多くなります」

 意高は学生時代に一通りの遊び(ギャンブルも含め)は経験しており、ギャンブルの恐さも十分に判っているはず。それでも自制できなかったのは理解に苦しむ点もある。

 ギャンブル依存症にかかりやすい人の特徴として、高木氏は遺伝的素因、生育環境、共依存の3つを挙げた。しかし、この指摘の中で不思議なほどに当てはまっている項目もあるのだ。

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