年収1000万円くらいでは厳しい? 宝塚音楽学校

男役トップでも年収1000万円?

 「男役トップあたりになると、実家を見ればものすごい金持ちが多いです。それまでに山の一つや二つくらい使うという逸話もあるほどです。一般家庭からでは、まずそこまで経済的には耐えきれないでしょう」と別の元宝塚担当記者が言う。

 音楽学校の予科、本科の2年間では、通常のレッスンは当たり前。精鋭の中でも抜き出ようと思うのならば、他にも個別のレッスンなどを受けたり、何かと金額はかさんでいくという。さらに歌劇団に入って研究生となっても、メークや衣装など身の回りのものも工面しなければならず、薄給の彼女たちにとっては親からの仕送りは必要なことは言うまでもない。

 「男役トップで、阪急グループの部長クラスとかお偉いさんクラスです。年収で言うと1000万円以上です。それまでは、阪急グループの若手社員ほどです。他に高額プレゼントをたくさんもらっているという話もあるにはありますが」(同)

 具体的に年収いくら以上が目安とは言いにくいものの、男役トップに上りつめるまでにはやはり一般的なサラリーマン家庭では厳しそうだ。

 また、お金の問題だけではない。すみれ寮に入っての集団生活で思わぬトラブルが発生したこともあった。万引きをねつ造され退学になったと主張する生徒が、それを不当だとして音楽学校を相手取って2009年に神戸地裁に地位確認を求める訴訟を起こしたこともあった。結果としては、学校側が退学を撤回し卒業資格を得ることで決着している。ただ、不幸にも歌劇団に入る夢は絶たれて実現していない。

 毎朝のけいこ場の掃除などは、できるまで終わらないというくらいに厳しいことは有名。さらには団体生活、上下関係などで培われるマナーは「花嫁学校」ともいわれるくらいだ。

 「うち、嫁がジェンヌなんですよ」。関西では何度か、紳士たちの口からこの言葉を聞かされたことがある。ちょっとした自慢であるが。

 故・春日野八千代さんのように生涯を宝塚に捧げる人もいるが、大体はいつかは退団する。では、退団後、もしくは卒業後のジェンヌはどこへ行くのか。

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