更なる医療崩壊の引き金!? ~大病院「初診料一万円」が孕む危険性

さらなる医療崩壊を引き起こす可能性も

 正直に話すと筆者の周りの勤務医の中には今回の制度を歓迎する声も少なくはない。朝の8時から夜の8時までひたすら外来をこなすのは心身ともに非常に堪えるのは事実だ。

 ただ一つ注意しておく必要がある事がある。

 今回の制度が導入されれば診療所を受診する患者が増え、開業医にお金が集まるシステムが助長される事が予想される。現在すでに存在する「大学病院<一般病院<開業医」 という収入格差が助長され、さらに大病院から診療所へ医師が流れる可能性も十分に有り得るのだ。

 つまり、患者を絞ったは良いものの今まで以上に地域の基幹病院で働く医師が少なくなり、命にかかわる疾患に対する専門的治療が滞る可能性がある。

 なお、筆者の個人的な感想としては、勤務医の労働時間は必ずしも患者数とは比例しない。むしろコメディカルの協力を含めたチーム医療の運営状況によるところが大きいと思っている。

 上記考察から、数千円程度の初診料の上乗せを強いる現在の制度の方が、多少の病院受診抑制効果も期待できつつ患者側にも選択の余地が残ってバランスが良いのではないかと考えている。

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