将棋よりも株で儲かった時代
1989年12月29日、日経平均株価は3万8915円という史上最高値を記録した。「私はどちらかと言えば慎重派だったので、それまであんまり投資をやらなかったのですが、勧められた転換社債や投資信託を買っても全部騰がるような時代でした。わたしの(将棋の)対局料よりも、レッスン料の方が高く、本当にいい時代でした。この年の証券会社の冬のボーナスは、新入社員の女性も300万円もらえたと聞いたことがあるくらいですから」と話す。
84年にある証券会社の将棋部の指導に行くようになってから、付き合いが生まれて購入した株が西華産業。仕手銘柄となっていたこともあり、30万円で購入しすぐに5万円の利益が出た。
そこからは、順風満帆。桐谷さんの保有株の時価も約2億円になっていた。
桐谷さん投資年表
1984年 株式投資を30万円からスタート
1986年 投資信託などで5、6000万円は投資
1989年12月 日経平均は史上最高値に、資産も2億円に
1990年9月 信用銘柄をすべて決済、しかし、その日を底に数日後から反発
2000年前半 1億円台で推移
2005年後半 小泉相場で自己記録の3億円に
2007年 棋士を引退
2009年 前年のリーマンショックで資産を減らし5000万円を切る
2013年 12年後半からのアベノミクス相場で再び大台の約1億4000万円に
いいところでスパッとやめられないのが株の魔力。2005年に3億円に達した資産も、その後のリーマンショックなどで減らすことになる。また、信用取引の手数料が下がったこともあり、「買わないと損だと思って買いすぎました」というほどのめり込み、結果的に自爆した。
2009年には資産は5000万円を切った。「生活のために株は売りたくない」上に、部屋代や糖尿病の治療などの生活費が必要となる。そんな時に製薬会社の治験アルバイト募集を見つけ応募したほどだ。
信用取引からは足を洗い、投資戦略を「株主優待&配当」中心に切り替えた。