富裕層の「生活保護」太陽光発電はあと1年が勝負

社会貢献から今や「投資」「節税」へ

 「同業の経営者の先輩から『今、やらないと後悔するぞ』と誘われました。年間で数百万円はキャッシュが手元に残ると言っていたので、最初は詐欺の勧誘かと。これって『富裕層の生活保護』じゃないのか、と思いましたけどね」

 そう話すのは、関西で社会福祉法人を運営する代表者。本業以外のリスクヘッジにもなるという動機だったようだが、FIT制度が後押ししたことは言うまでもない。元々は富裕層個人や、企業などが社会貢献やCSRの一つとして太陽光発電を行っていたが、最近はズバリ「投資」「節税」である。しかも生活保護ばりに堅実なものとなっている。

 しかも、立地の善し悪しを考える必要はない。不動産投資ならば立地が勝負だが、太陽光発電は日照時間の問題はあるが、それほど立地にこだわる必要はないノーリスクハイリターンの投資だ。経産省の利回りの7%前後、さらにレバレッジをかけると10%以上の利回りにはなるそうだ。

 平成24年7月~25年3月までに適用された業者は、買取価格が10キロW以上で42円(1キロWあたり)。そこから現在の買取条件は徐々に減価されてはいるものの、まだまだ魅力の大きな水準だ。というのも、普及を目指すためには、「3年は特に配慮する」ということで供給増加を重視しているからだ。

 「税引前IRRはドイツが7.0%前後だったのですが、それを参考に決められているので、日本の利回りが高すぎるとまでは思いません。ただ、理想とするベストなエネルギーミックスを決めないままで制度をスタートさせたことや、系統接続は電力会社の意思でどうにでもなるので、そのブラックボックスを透明化できなかったことなど問題点はたくさんあります」と業界関係者は指摘する。

 こうした歪が出ていることで、これから始める事業者の利益が不確実性が増してくるということだ。

※IRR:初期投資に対する利回り

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