富裕層の「生活保護」太陽光発電はあと1年が勝負

チャンスの芽は萎む

 今年1~3月の年度末に申請が急増したのは、年度が変われば買取価格が36円から32円(10キロW以上)に下がるため。36円でスタートしたい事業者が駆け込んで、九州電力など電力5社が買取を一時停止した。

 このように、系統接続のイニシアチブは電力会社が依然として握っており、旗振り役の経産省もそこまで力が及ばなかった格好だ。ドイツの例を見れば、買取申請は原則としてすべて買い取らなければならず、接続率は99.7%となっている(数字は調達価格等算定委員会による)。

 前出の電力会社社員は「太陽光発電の一つの問題として、電力の供給地と需要地が一致しないこと。九電に集中するのではないか、という見方は我々の業界の中ではありました」と指摘する。つまり、土地価格と日照時間に大きく関係し、ソーラーパネル設置は九州電力管内に偏在する傾向になった。結果として、九州電力の接続可能量は817万キロW、現在の申込量は1322万キロWという大きなミスマッチが起きている。

 九州電力が先日発表した買取再開案には、年間30日の出力抑制、あるいは30日以上の抑制もあり得るということが記されている。買取の制限によって利回りに換算して8%以上低下することもあり得るということだ。

 早く始めた人ほど先行者利益を得たことになるが、チャンスの芽はどんどん小さくなっていく。特別な配慮がなされる最初の3年は、あと1年だ。


資源エネルギー庁HPより

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