相続対策ではなく養育費
そもそも相続対策のために、ききょう企画に大塚家具の株式を譲渡した。そのため返還されなくても仕方がないくらいに考えていなければならないのだろうが、もしも株式の返還がなされない場合は、年間利息わずか2250万円を毎年受け取って、元を取るには約67年間の時間が必要になる。これでは、勝久会長の生前のうちには元を取ることはできない。
勝久会長は久美子社長との経営面での行き違いについては主張していないものの、準備書面の中で「(社債)発行から5年間の変化」として、「父と長女で対立が生じた」とだけ述べている。
勝久会長の訴えでは、2008年に発行された社債の償還期限は2013年までの5年間であるとしている。これ対して久美子社長側は「5年間の期間は便宜上、規定されたもの。5年後には当然、延長が予定されていた」と反論し、ききょう企画の取締役会が2013年2月に開催され、その場で5年間の延長が決まったという。
だが、勝久会長の怒りは収まらず「相続対策、事業継承スキームとは異なり、株主配当と社債の利息との差額をききょう企画に取得させるスキーム。子供たちに分配させて生計を援助するためであった」と、養育費代わりだったと主張しているのだ。
主張としてはつまり、ききょう企画に年間5200万円の配当が入り、社債利息2250万円を差し引いた全額が、ききょう企画の役員報酬名目で久美子社長ら5人の子供に支払われたとしている。ちなみに現在の配当金は当時の2倍に増配されているために、配当総額は1億400万円となる。
こうした双方の主張と同時に、勝久会長と千代子夫人の意図が明らかとなる。