3000万円の投資
実は歯科医師の国家試験の合格率が下がってきていることを、皆さんはご存知だったろうか。全体で見ると、2009年度は67.5%(新卒:76.1%、既卒:46.1%)。2008年度の68.9%、2007年度の74.2%と比べて年々低下傾向にある。
「やはり歯科医がだいぶ増えたので(厚生労働省が試験を)難しくしているというのはあるかもしれません」と山田さんは言う。
ちなみに医師国家試験の2009年度の合格率は91.0%だった。増やさなければならないためできるだけ通したい医師、これ以上増やせないために門戸を狭める歯科医。こうした図式が出来上がっているのかもしれない。
歯科医師の国家試験を、さらに大学別で細かく見てみると、世間一般にはあまり知られていないこともわかってくる。例えば、合格率が最も高いのは大阪大学大学院歯学研究科 90.4%(大学では岡山大学歯学部の89.3%)。90%以上は唯一ここだけだった。しかし、その一方で最も低い松本歯科大学は32.5%だった。
6年間の私立大学の学費の相場は3000万円前後となっており、高い投資金額を考えれば、大学選びを間違えると、下手をすれば歯科医になれないという人も出てしまう。
しかも受験者数は増加。2004年度の受験者数が2960人なのに対して、2009年度は3531人と2割以上も増えた。そうすれば、難しくして合格率を下げるしか方法はないのだろうか。
山田さんに限らず、2代目たちは厳しい環境の真っ只中にいる。