プライベートシェフはマクロを勉強しないと務まらない
―マドンナさん以外で、マクロを実践している著名人はどのような方ですか?
「アル・ゴアさん、グゥイネス・パルトロウさん、二コール・キッドマンさんなどもマクロを取り入れられていました。本格的に厳しくやっている人から、考え方を取り入れて、バランスよく自分の生活に取り入れている人まで様々です。」
―プライベートシェフの存在は、富裕層の家庭では一般的なことでしょうか。
「欧米の富裕層では一般的です。契約は単発や1ヶ月~3ヶ月などが多く、私のように7年以上ずっとというのは少ないですね。もちろんマクロとは限らず、フレンチ、イタリアンなどと料理のジャンルで区切っている人もいます。欧米ではマクロやビーガンも料理のカテゴリーの1つです。ホールフーズ、ビーガン、ベジタリアン、マクロなどを全部勉強していないと、今のプライベートシェフは務まりません。例えばイタリアンのシェフであっても、マクロの勉強を自分なりにして、知識を持っている必要がある場合があります。10年前はそんな必要はありませんでしたが。」
―プライベートシェフをやっていて良かったこと、やりがいとは何ですか?
「やりがいは、その人の食生活のすべて任せてもらえること。自分の創造力を最大限に駆使して、食べ物をコントロールできることですね。反面、それはこの仕事で苦労する点でもあります。毎日のメニューを考えることはもちろん、買出し、片付けまで全部1人でこなすので、切り盛りが大変。拘束時間も長く、著名人は居場所が変わりやすくて移動も多いです。でも色々な場所に行き、色々な食材に出会えることは楽しいですよ。」
―プライベートシェフを辞め、日本に戻ってきたのはなぜですか?
「家族を健康にすることはマクロの第一義です。プライベートシェフとして自分の家庭やマドンナ一家を健康にすることはできましたが、そろそろそれをもっと多くの方に広めていきたいと思い、帰国しました。欧米にはもうマクロは浸透していますが、逆輸入された日本はこれから。今後は日本で活動し、マクロの良さを広めていくことが目標です。」
西邨マユミ(にしむら まゆみ)
1956年愛知県篠島生まれ。82年に渡米し、マクロビオティックの世界的権威である久司道夫氏の下で学ぶ。83年よりクシインスティティュートベケット校の設立に参加、開校後、同校の料理講師および料理主任に就任し、同時にガン患者への料理指導を行う。マドンナの息子のアレルギーを10日間で改善させたことをきっかけに、2001年から7年以上、マドンナ一家のプライベートシェフとして、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークを中心に活動。2008年より、本格的に拠点を日本に移し活動中。2児の母。