ロシア企業が宇宙ホテル計画を発表
今年9月、ロシアの宇宙開発企業エネルギア(Energia)が、民間人宇宙旅行者のための史上初の「スペース・ホテル」建設計画を5、6年後の開業を目指して進めていることを明らかにしました。宇宙ホテルの計画は他の民間企業も進めており、ライバルは多く、他企業では3泊4日で5億円という価格設定を発表しているところもあります。
これまで商業用宇宙旅行は、スペース・アドベンチャーズ社が手がける軌道飛行と、ヴァージン・ギャラクティック社が手がける弾道飛行の2つが中心で、特に弾道飛行はライバル企業が多く、どこが最も早く実現できるかに注目が集まっていました。今回宇宙ホテルが発表されたことで、商業用宇宙旅行を巡る競争に、さらに宇宙ホテルが加わることになりそうです。
宇宙開発ビジネスは現在どのような段階にあり、今後どのように展開していくのか? 「YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)」は今回、商業用宇宙旅行の最新事情に迫りました。
宇宙ホテルは最低30億円支払わないと利用できない
エネルギアの宇宙ホテル計画は、露オービタル・テクノロジーズ(Orbital Technologies)社との共同プロジェクトで、2015年オープンが目標。最大収容人数は7名で、宿泊料など詳細は発表されていません。
宇宙ホテルは国際宇宙ステーション(ISS)と同軌道に62マイル離れて置かれる予定で、宇宙ホテルと国際宇宙ステーションのクルーが行き来できるようになります。ホテルの利用客はロシアの宇宙船ソユーズで宇宙ホテルに到達します。
もし実現すればぜひ利用してみたい宇宙ホテルですが、しかしこのホテルに宿泊するためには、まずオービタル宇宙旅行(軌道飛行)に申し込めるだけの資産力が必要です。軌道飛行の価格は、1人約3500万ドル~4500万ドル(約28億6000万円~36億8000万円)。スペース・アドベンチャーズ社を利用し、昨年3月に宇宙旅行に旅立ったハンガリーの富豪チャールズ・シモニー氏や、2012年に旅行予定の米グーグルの共同創業者セルゲイ・ブリン氏など、数百億円規模の資産がある富豪のみが実現できる旅行です。これまで、世界で7人ほどの富豪が利用しています。